2016年3月14日月曜日

      闘う巌さんの獄中からの手紙(1978,3,10)
 12日に巌さんの傘寿を祝う会を行ないました。そこで、参加者に配布した、巌さんが果敢に闘っていたころの手紙です。3月10日が巌さんの80歳の傘寿を祝う会には24人の参加者及びメディアの取材があり、総勢では30人を超す会合になりました。


前略 渡辺様 公に 前進こそが 勝ちの道
面会有難うございました。差入れ受け取りました。何時も有難う。
警察のデッチアゲ偽造工作完遂をもって逮捕起訴されて十一年有余 私はこの暗黒のデッチ上げ虚構に対する満腔の怒りを一瞬たりとも忘れることはできない。先ず捜査陣の違法は裁判に於いて認められている。無罪は当然だ。我々は本件完全無罪判決戦取への重大な決意をこめ積極的に働きかつ主張し、私の青天白日無実を示す全証拠を鮮明に打ち出すことによって、本件起訴事実を全面的大破産に追いこみ、支援諸氏による本件裁判闘争勝利に向けた熱い団結により新たな大運動に堰を切ったように開始されることを切望しています。宜しくお願い致します。
本件の滑稽さは次の件に尽きる。捜査主任松本が端切のデッチ上げという愚かしくも鈍に過ぎる手段に依拠せざるを得なかった事態には、最早いかなる意味に於いても国民に反逆するものである。第一穿けもしないズボンを所持する人間はいない。この点に争いは有さない。従って決め手とされている端切が本件ズボンの端布と仮定しても、それが被告人の実家に存在するわけはないのである。これこそ捜査陣のドズ黒い偽証工作を露にしているのである。本件端切の発見者松本捜査主任の保身の為の偽証工作は見え見えである。正しく彼が狂乱の極みに達していたことの顛末である。
本件に於いて松本捜査主任等は己の面子の為には無実であろうとそんなことは問題にせず、何がなんでも人民の中から犯人をデッチ上げるという暴挙を露骨に働いている。人民諸氏、このような権力犯罪を許すのか、全人民は横暴に満たされた司法殺人を見てみぬ振りをするのか、そのようなことは断じて許さない筈だ。今こそ善良な庶民に断固たる態度決定を迫りたい。不正義を徹底的に憎み、横暴を憤る人民の広範な総決起を実現していかなければ、決して権力犯罪はあとを断たないのである。心ある人民各位に訴える。権力犯罪を絶対にゆるさぬため火玉となって共に闘って下さいますよう。全支援者、人民諸君、満を持して明らかにされた起訴事実の完全破綻という紛れもない事実に、あらためて心底からデッチ上げに対する怒りを爆発させてほしい。無実の人間を陥れた、裁判官等司法権の極めて卑劣なデッチ上げ、死刑弾圧を粉砕すべく、今こそ人民は団結してほしい。
誰が見ても私の無実証拠は明確である。それを証明する全証拠は検察官も同意せざるを得なかった確固不動のものである。総ての国民諸君、友人諸君、袴田巌を知るすべての知人各位、無実の袴田が獄中十一年半余という合法的謂   なき、この権力の暴挙をどうして許せようか。この暗黒のデッチ上げ裁判死刑弾圧をつつけさせることがどうして出来ようか。本件の司法殺人大暴挙に、心ある人民の怒りは心底から煮えたぎっている筈だ。獄中の私の血の叫びはどこまで届いているだろうか。不条理の下で操作された本件有罪判決に対する、私の怒りは胸はりさけんばかりである。支援諸氏は、今こそ社会正義を各人が堅持し、不当に対する人民の当然の怒りを大爆発させていってほしい。本件のどす黒い体現、暗黒デッチ上げ裁判粉砕のために、必要な全てを直ちに遣退けなくてはならない。一日も早く、一刻も早く晴天白日無実の私は正義に守られて共に勝利せねばならない。つまるところ横川判決は外部にも内部にも弁解の余地は全くない内容の決定的産物だ。

渡辺登様   一九七八・三・一三     袴田巌